暖かいこの街にもようやく遅い初雪が舞い降りた。…1年前と同じように。
通りを行く人々が足早になる中、俺は立ち止まり、褐色の空を見上げた。
あの人がもし俺と同じようにこの初雪を見ていてくれているのなら…
1年前のあの日のことを思い出してくれるだろうか?
再び、俺の携帯へと電話をしてくれるのだろうか?
…自分でもこの未練がましい性格が時々嫌になる。白いため息が雪に掻き消されていく。
![初雪](https://blog-imgs-35-origin.2nt.com/s/p/l/splashyou/img470.jpg)
今から1年前、その日は朝からひどく冷え込んでいた。
『どうもポチです。今日…東都ホテル、505号室…16時に待ってます。』
俺の携帯に残されていた公衆電話からの留守電メッセージ。
ポチというのは俺が何度かメールをやり取りしていた男のハンドルネーム。
その日、俺とポチさんは街外れのホテルで初めて会うことになっていた。
待ち合わせ場所がホテルという時点で、何をするつもりなのかは鈍い俺でも予想できた。
16時少し前、俺がホテルに着いた時にはチラホラと雪が降り出していた。…初雪だった。
505号室に招き入れられた俺はそこで初めてポチさんと対面した。
「雪、降ってきたな。寒かったろ?」
優しい笑顔のポチさんはスーツ姿で、俺より少し年上といった感じだった。
「頭、カッコイイじゃん。お、ラインも入ってる。」ポチさんはそっと俺の頭を撫でる。
「へへ、このライン気に入ってくれたのポチさんが初めてですよ。
結構評判イマイチなんですよね、これ。だから次はっ…んっ!!!」
覚悟はしていたといえ、突然の…しかもかなり強引なキスだった。
勢い良く湿った舌が口の中に押し入ってくる。行き交う唾液からうっすらと煙草の苦い香りが広がる。
俺の前では一本も吸わなかったけど、きっとポチさんは普段煙草を吸う人なのだろう。
外の景色と同じように頭の中が真っ白になっていく。その後の二人は飢えた獣同然だった。
互いの服を引き裂くかのように剥ぎ取り、シャワーも浴びないままベッドに崩れ落ちる。
上に下にとなりながら、手や口を使って互いの性器に奉仕する。
親兄弟にだって見せたことの無いような恥ずかしい部分を、今日初めて顔を合わせた男に曝け出し、
弄ばれていく快楽…
透明の先走りが溢れ出し、体位を変える度に互いの体に糸を引いてまとわり付く。
俺達はたっぷりと時間をかけて頭の天辺から足の指の先まで味わい尽くした。
髪につけられた整髪料の香り、汗ばんだ腋の下の味、革靴で蒸れていたのであろう足の臭い…
全てが愛しかった。…もうこれ以上、互いの体で知らない部分は無いというくらいに全てを堪能した。
朦朧とする意識の中、ポチさんが堪えきれない様子で俺の中に入ってくる。
先ほどまでの丹念な愛撫で入り口は既に弛みきっており、俺の穴はポチさんを素直に受け入れた。
「おぉ…あ…お前の中っ…すげえぇ熱い…溶けちまいそうだ。」
ポチさんはゆっくりと腰を動かしながら悶絶する。
ポチさんのカリ首の部分が穴の内壁を擦る度に突き上げるような痛みと快感が波の如く押し寄せる。
下半身が心地よく痺れていく… ポチさんの腰の動きが速まる…絶頂が近い。
ヌチャヌチャヌチャグチョ…結合部から淫らな音と泡立った体液が漏れ出す。
「ああっ!! すげっ…すげえっ!! こ、こんなセックス…何年…ぶりだろ… くっ!!
イク!イクぞっ!! あっあああああああっ出ちまうっ!!!!」
「欲しいっ!… 俺のなかにっ! ぜ、全部っ…全部下さいいぃぃっ!!!!!」
二人は同時に果てた。見たことも無いほど大量の白濁液を飛び散らせて。
その後、俺達はまたすぐに会える関係のような軽いノリでホテルを後にした。
しかし…それを最後にポチさんからの連絡は途絶えた。
「そういえば俺…ポチさんの本名、電話番号…何も知らない。」
あんなに互いの全てを知り尽くした気になっていたのに、実はポチさんのことを何も知らなかった。
ヤリ捨てだったのかもしれない…それとも何か事情があって連絡が遠のいているだけかもしれない。
初雪の中、1年経ってもまだ俺はポチさんのことを想っていた。
この雪がポチさんの前にも舞い降りたら、きっと…
ふと携帯のバイブが振動する。俺は慌ててズボンのポケットから取り出し、画面に目をやる。
…公衆電話からの着信であった。
どうも氷です!久しぶりにちゃんとしたの書いたら…長い!
5分くらいで考えた話のワリには文章にしたらクソ長い!
“完結にまとめる”という能力を誰か俺に下さい(笑)
それにしても小さい頃は雪が降っただけでテンションMAXだったなぁ。
今となっては「雪!?…勘弁してくれよ。」くらいにしか思わないけどw ではまた!
テーマ:同性愛、ホモ、レズ、バイセクシャル - ジャンル:アダルト
- 2010/01/19(火) 22:10:22|
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| コメント:5
今回はまたいやらしい描写ですねー!!笑
1回限りの関係ってキッパリと割り切れる時はいいですけど…こういう時ってめちゃくちゃ引きずるんですよねぇ…。
俺はこんな風な関係はダメなタイプですね”(ノ><)ノ笑
いつでもアマアマでいたいですから(≧∇≦)
でも、氷さんはやっぱり文才がありますね。こんなシリアスな話をしっかりと読み手に伝えられるんですから。感心します!!
氷さん大好きっ!!(≧ヘ≦)
- 2010/01/21(木) 21:51:30 |
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- 斬 #.63BC9rM
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>斬さん
斬さん、いつもありがとうございます!!
今回はエロ重視でいきましたよ!
ストレートなエロ描写自体が久々だったので結構楽しかったです♪
でも俺もその場限りの関係ってのは…正直キツイかも。
結構あれこれ考え込んでしまう性分なんで、
相手のことを気にしすぎてグッタリって展開だろうなぁ。
(まぁ相手は意外と何も気にとめてなかったりするんですけどねw)
文章、大丈夫だったですかね?そう言ってもらえるとホント有難いです!
>たくとさん
たくとさん、サンクスです!この話の結末は読んで下さる方に丸投げしてしまいましたw
どうしようか一瞬考えたんですけど、
あまり定まった結末にしない方がいいかなぁ…なんて思いまして。
でも電話の相手はもちろん…ですよね♪
確かにかなり続編が書きやすい話になりました。
お、スーツ姿いいですね!
スーツフェチの俺としても是非チャレンジしてみたいシチュエーションです!!
スーツ男の色気はホント異常ですよね!
- 2010/01/24(日) 22:49:01 |
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- 氷 #-
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JUMPさん、どうもはじめまして!!
この話はホント自分でも続編作り易い終わり方だなぁと思います♪
是非機会があったら続編描かせていただきます。
続編ってキャラクターとかを新しく考える必要とかないから
作る方からしてみれば実は意外と楽だったり。(おい)
最終的にくっていて終わるのか、または別れて終わるのか…そこが難しいところではありますけどw
これからも精進していきますんで、また気軽に遊びに来て下さいね!
お待ちしとりますっ!!
- 2010/01/31(日) 19:32:38 |
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- 氷 #-
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